「知ってることを話せばいいからな。先生は表にいるから、いつでも声をかけろな」


「はい」


カチャッ

広い会議室の大きなテーブルの真ん中に結城は座っていた。

うつむいた姿勢で資料らしき紙をめくっている。

私が入ってきたのを知っているくせに、こちらを見ようともしない。

向かい側に立ち、黙って椅子に座った。


胸が。


胸が、痛くなる。


___私は。私は・・・・・・。


ギュッと唇をかんだ。

今はそんな場合じゃない。


「江梨子のことですか?」


背筋を伸ばして声を出すと、資料を見たまま結城は、

「ああ」

と、うなずく。


「月曜日から学校には来ていません」


「らしいな」


メガネを直しながら、足を組んだまま私を見た。