「どのへん?」


「ちょうど真ん中くらい。誰かと話してる」


言われた特徴とピッタリくる、小太りのヒゲ男が立っていた。

周りが踊っているのにもかかわらず、小太りのヒゲだけは緊張したように立ちつくしているからすぐにわかった。

キョロキョロと視線を左右に向けている。


「よし、誰かからなにかを受け取ったらすぐに言ってくれ。・・・・・・橘?」


「え?」


「お前じゃない。無線で話してるんだ」


はいはい。

説明もなく、自分勝手にことを進める結城。

こういう人と付き合う女性は大変だ。

急に、冷静になって私はそう思った。

ゴニョゴニョと橘と話していた結城は、しばらくするとまた私の耳元に顔を寄せた。


「ヤツが何か受け取ったらすぐに言ってくれ」


「はーい」


言ってるそばから、小太りのヒゲはさらにあたりを警戒するかのように見渡した。



見つかってはいけない。