「・・・・・・小太りのヒゲ」


「はい?」


言われた意味がわからなくって、私は聞き返す。


「小太りでヒゲづら。見えないか?」


高鳴る鼓動を落ち着かせながら、あたりを見回す。


「ね、もう少し肩さげてよ。見えにくい」


身長差のせいで、視界がせまいのだ。

強がっている自分の声すら聞こえないくらい、激しい音がうずまいている。


「悪ぃ」


「ん・・・・・・」


さりげなく会場を見渡した。

少しずつ目が慣れてくるのと、一瞬光る照明が客人の顔を判別させてくれた。


ええと・・・・・・。

ああ、なんだかあったかいな。

クーラーが効いて寒いくらいだったのに、結城の体温があたたかい。

って、だめだめ。

捜査なんだから協力しなきゃ。


「あ、いた」