まだ早い時間だからか、思っていたより少ない。

この町にも、こんな若者向けの場所があるんだなぁ、なんて感心していると耳元でささやくような結城の声。


「踊れるか?」


「ムリ」


「だろうな」


そう言うと、そのまま壁際へ。

そこからは全体が見渡せた。

壁を背にして立たされる。

結城は私を抱きしめるかのように近い。

こんなにうるさいのに、結城の息づかいが耳元で聞こえているよう。


なんだか現実ではないような気分。


さっき言ってた捜査っていったいなんのことだろう?


「ねぇ、ちゃんと説明してよ」


「は?」


「説明!」


大きな声を出したとたん、結城が壁をドンッと右手でたたいた。


「・・・っ」