4、

建物の中は、ひんやりしていた。

すぐに地下につづく階段があり、そこを降りると屈強な顔の男が立っていた。

スキンヘッドで、町で会ったら絶対目線を合わさないタイプ。

タンクトップの腕には、見せびらかすようにドクロのタトゥーが彫ってある。

ジロッと私を一瞥すると、スキンヘッドは鼻で笑った。


「未成年は入れないよ」


低い声で言うと、あごで階段を指す。

帰れ、ってことだろう。

はい、わかりました。

帰りまーす。

向きを変える私の腕を容赦なく結城がつかんだ。

無言で内ポケットから警察手帳を取り出すと男に見せる。


「捜査だ。他言すんなよ」

と、ドスを効かせた声で短く言う。


「・・・っ」


スキンヘッドがクリティカルヒットをくらったように、その場から一歩さがった。

ドラマで見たことのあるシーンに、少しだけ「おお」となったけれど、声には出さない。