聞き間違い?

橘がにっこり笑って、今度は友季子に言う。


「僕の恋人は友季子さん、いや、友季子だよ」


「うれしい! 私もずっと好きでした」


友季子が目をうるませて言った。

いやいや、さっき会ったばっかじゃん。


「てことだ。琴葉、行くぞ」


そう言って結城は私の肩を抱いて歩き出した。


なんで呼び捨て?


なんで恋人?


呆然とするとは、こういうことを言うんだろう。



私はされるがままに、結城と建物の中に入って行った。