「いや」


「じゃあ、橘さんを疑ってたの?」


「それも違う」

そう言うと、結城が私に近づいて胸のあたりを指さした。

「そのペンダント」


「え? これ?」


取り出して見せると、結城はゴホンと咳払いをひとつする。


「それに、GPSを仕込んでおいたんだ」


「ぶ。なにそれ」


「いや、ペンダントはちゃんと買ったんだぞ。それこそ何時間も店で悩んで選んだんだ」


なぜか胸を張る結城を見て思わず笑ってしまう。

必死で選んでいる姿がなぜか容易に想像できたから。


「でも、GPSを?」


「まぁ・・・・・・な。琴葉が人の言うことを聞かないヤツってことくらい、すぐにわかったから。それにいざという時は、すぐに助けたかったから」


「ふうん」


私の声を呆れたようにとらえたのか、結城は、

「だいたいお前が、人の言うことも聞かずに飛び出すからだぞ」

と、逆に非難してきた。


「それは結城さんが友季子を疑うからでしょ。結局は結城さんの推理ミスだったんだから」