黙ってなくちゃいけない状況のはずなのに、口が勝手に開く。


「どうでもいい、ってひどいよ! 友季子は本気で・・・・・・本気で橘さんを好きだったのに!」


橘が不思議そうな顔をした。

そしてその表情のまま私に近づくと、銃口を私の胸に押し当てた。


「本気って? お前らみたいな青いガキが、本気で人を好きになる? 笑わせんなよ。恋愛ごっこしかできない子供のくせに」


「年齢は関係ないでしょ!?」


「琴葉、だまって!」


悠香が叫ぶけれど、口が勝手に動く。


「誰だって、本気で人を好きになることくらいあるよ。いくつになっても変わらない。友季子がかわいそすぎるよ!」


橘のことを話す友季子は輝いていた。

うらやましくって、ねたんでしまうくらい幸せそうだった。

それが、橘にとっては利用していただけなんてひどい。

あんまりだよ!


「前から思っていたけどさぁ、お前ってほんと生意気なヤツだな。結城に取りこんで、なにをたくらんでるんだ?」


グッと胸に強く押しあてられる拳銃。

その引き金に勇気が指をかけた。


「お前、死ぬか?」