友季子は私の方なんてまったく見もせずに、橘を見つめている。


「あります」


「友季子?」


「時間、たくさんあります」


はぁ・・・・・・。

私はがっくりと肩を落とした。


「よし、じゃあちょっと付き合え」


結城が急に私の手を取って歩き出す。


「え!? ちょ、ちょっと!」


手を引っ張りながら、こちらを見ようともせずに歩く結城。

振りかえると、エスコートされているかのように友季子も橘と一緒についてきている。


「まって、まってよぉ」


どんどん歩く結城のスピードに、腕が痛い。

ほんっと、優しさがないんだから!

そう思いながらも、誰かに手をつかまれて歩く経験なんてしたことない私。

急激に体温があがるのを感じる。


なに、これ?


意志とは裏腹に、胸がドキドキして息苦しい。