サヨナラケイジ

ガサッ

動揺したのか足をする音が狭い部屋で反射した。


「ねぇ、ちがうよね? きょうちゃんじゃ、ないよ・・・・・・ね?」


沈黙が空間を支配する。


どうしよう。


心臓が耳の近くにあるみたいにドクンドクンと、早い鼓動が聞こえる。


「きょうちゃん・・・・・・お願い、ちがうって言ってよ。言ってよぉ」


うめくような声が、コンクリートでこだましている。

「友季子、もう黙って」


そう言うのがせいいっぱいだった。

これ以上、犯人を刺激したくない。

橘であろうと、そうじゃない人であろうと危険すぎる。


「だって、だってぇ」


「お願い、友季子」


うめく声は泣き声にかわった。


やがて、

ヒタヒタ

足音が遠ざかってゆく。


どうやら答える気のない犯人が部屋を出て行くようだ。