サヨナラケイジ

「前の晩から、きょうちゃんが部屋に泊まってたの」


「・・・橘さんが?」


糸の切れたあやつり人形のように、友季子はコックリとうなずく。


「内緒でね、これまでもたまに泊まってたの。でもあの朝は、なぜかいつもより目覚めが悪かった。窓ガラスが割れた音にも気づかないくらい」


「うん・・・・・・」


ブンブンと友季子は首を横に振った。

まるで自分の頭からイヤな考えを振り払おうとしているみたいに。

でも・・・・・・。


「起きたときにはもう、きょうちゃんはいなかった。ほら、琴葉が青い顔して部屋に来たでしょう?」


「そうだったね」


あの朝、友季子はいつにもまして寝起きが悪かったっけ。

もしも薬で眠らされていたのなら・・・・・・。

前の晩に飲んだものに睡眠薬が入れられていたのなら。


「で、浩太から電話をもらって出かけるときに気づいたの。部屋の片隅に、プレゼントの袋が置いてあったの。寝る前はなかったんだよ」


「・・・それで?」


先を急かそうとするけれど、また友季子はふるふると首を横に振った。