「ああ。その女の人知ってるよ」


のんびりした友季子の言葉に、思わず、

「え!?」

と、エビがのけぞるようなポーズをしてしまう。

あわてて体を起こすと、友季子はにっこり笑った。


「あの人、最初に行方不明になった女の子のお姉さんなんだって。『警察の捜査が甘い』、っていつも泣いて怒って結城さんを責めるんだってさ。きょうちゃんが言ってた」


「え・・・・・・。そ、そうなの?」


「それにあの人さ、結婚してるらしいよ。小さい子供をつれて警察署に来たりもするんだって。ヒステリーだから結城さんも大変な目にあってるけど、冷たくもできない、って聞いたよ」


・・・そうなんだ。


結城の彼女ではなかったんだ。

ああ、急に胸のつかえがとれたみたい。


「ニヤニヤしちゃって」


悠香がちゃかす声に、はじめて自分が笑っていることに気づいたくらい。


「ちがっ・・・・・・」


「またまたぁ」


友季子もからかってくる。


「だからちがうってば」