「ほっといてよね」


そう言うと、横向きになってコンクリートで頬を冷やした。

逆に友季子がいてくれてよかったのかも、なんて思いながら。


「琴葉は会いたい人、いないの?」


そうたずねる悠香に、私は黙って目を閉じた。

聞こえないフリ作戦。

けれど、友季子はそこに爆弾を落とす。


「そりゃ、結城さんでしょ」


「な、ちがう!」


「ははは。照れてる~」


やっぱりイラっとくる。

ほんとデリカシーないんだから。


「そんなんじゃないよ。だいたい、結城さん最近他の女の人といるのよく見るし。彼女がいると思う」

そしてその女性はとてもきれいで、泣いていて・・・・・・。

ググッと胸になにかこみあげてくるけれど、私は泣かない。


勝手に好きになったのは私だから。