あれ?


ていうか、私のロープの長さだとトイレまで行けないじゃん!

ひどすぎる。


「あのね、食事を運ぶときだけ犯人がここに来るの。部屋の電気を消して真っ暗にしてから」


何日も監禁されているから、当然食事は運ばれてきてるってことか。

でも、それなら・・・・・・。


「まったく顔は見えないの?」


「見ないようにしてるから」


悠香がボソッと答えた。


「え?」


「だって、もし見ちゃったら殺されるかもしれないでしょう? 私、生きて帰りたい。生きて、浩太に会いたい。だから、部屋が真っ暗になるとギュッて目をつぶるようにしてるの」

静かに言う悠香は真剣な目をしている。

浩太・・・・・・。

そうだよね、早く会いたいよね。

自分の声色に気づいたのか、悠香は肩で息をすると、

「ごめん、こんなときに。恋愛の話してる場合じゃないよね」

と、口をキュッとひきしめる。