「昨日までは江梨子もいたんだよ。それに他にも3人いたの。だけど、ゆうべ気づいたらすごく眠くなってて、気を失うように寝ちゃったの。で、起きたらもういなくなってた」


くやしそうに悠香はくちびるをかんだ。

きっと、よしこちゃんに盛られた薬と同じかもしれない。

そっか、江梨子も無事だったんだ。

会えなくても、行方不明になったみんなの無事がわかっただけでもホッとする。

犯人はもう3人を海外に運んだか、船に乗せこんだか・・・・・・。

どちらにしても時間が迫っているってこと。


「江梨子たちは元気なの? なんか言ってた?」


私の問いに、悠香が悲しくうつむく。


「みんな同じ。気づいたらここにいたんだって」


「そうなんだ・・・・・・」


場の空気を読まない友季子が、「結局さぁ」と口を開いた。

「犯人は顔を見せないようにすごく気をつけてるみたい。完全犯罪だね」


「ご飯はどうしてるの?」


トイレは部屋の片隅についていた。

むきだしの便器が、どことなく刑務所のよう。

足は動けるけれど、手が使えないのは不便だろうな。