「石田琴葉、だろ? やっぱり確認しにきたのか」


「まぁ・・・・・・一応」


「こいつが、財布の拾い主」


結城がとなりの男にそう言っている。

結城より少し背は低いが、目つきの鋭さからいって同僚かなにかだろう。

友季子が、呆けたような顔をしてキョロキョロとふたりを見ている。


結城と隣の男が何やら話していたかと思うと、急に私を見て、

「お前、このあと時間あるか?」

と聞いてきた。


「ない」


「ウソつけ。ちょっとつき合え」


「やだ」


「お前なぁ」


結城がまたあのにらむような目をした。


冗談じゃない。

なんで、あんたの言いなりにならなくちゃいけないのよ。


もう関わり合いになんてなりたくないんだから。