「ちょっと、琴葉」


ん?

ちがう方向からも声がする。

この声は、誰だっけ。


「困ったね」


友季子と笑い合っているこの声を私は知っている・・・・・・。

ゆっくりと目を開けると、横向きの景色。

ああ、私が横になっているのか。

息が苦しくて、のどが痛い。


「ううう」


自分の声じゃないみたいな音が出た。


「あ、起きたよ」


声のほうに目をやると、そこには・・・・・・。


「友季子?」


友季子が壁にもたれかかって私を見て笑っていた。


「琴葉のほうがお寝坊さんだね」


「友季子!」


思わずガバッと起きあがろうとして、見えない力に床に倒されてあごを床に打ちつける。