「なんか、おかしいわ。アタシ・・・・・・眠りたくないのに、勝手に・・・・・・」


「・・・なに言ってるの?」


ゴトン

音を立てて、よしこちゃんの手から落ちたグラスが絨毯を転がった。


「きっと薬がお酒に・・・・・・逃げて・・・・・・早く」


よしこちゃんはそう言うと、逆らえない重力に押し倒されるように横になった。


「うそ・・・・・・よしこちゃん、よしこちゃん!」


体を揺さぶっても、「ううん」うめき声をあげるばかり。


そんな・・・・・・。


どうしよう。

信じられない思いのままゆっくり立ちあがったその時、部屋の電気が消えて真っ暗になった。


「あ・・・・・・」


視界がなくなり、足元すら見えない。

よしこちゃんの寝息だけが聞こえる暗闇で、1ミリも体が動かない。

悲鳴を出せば友季子が助けて・・・・・・ううん、隣には誰もいないんだった。


だったら、もっと大声で叫べば誰かが気づいてくれるはず。