よしこちゃんはマイグラスを取り出して、そこに手際よく焼酎を注ぎ入れる。

カラン

氷が踊る音がして、少しだけ気分が明るくなる。


「せっかくだから考えてみましょうよ」


「考えるって、なにを?」


棚からコップを取り出してジュースを入れながら問うと、

「これまでの事件について」

と、当然のように言ってのけた。

正直そんな気分にはなれないけれど、どっちにしたって眠れないのは同じ。


「わかった」


素直に言う私に、少しヒゲの伸びたよしこちゃんは満足そうにうなずいた。


「じゃあ、まとめるわよ。まず、市内で3人の女子高生が行方不明になったわよね」


「うん」


名前も知らない彼女たち。

そっか、彼女たちのほうが長く監禁されているなら、周りの人たちの心配もそうとうなものだろうな。


「そして、松下江梨子ちゃんがいなくなった」


「私が財布だけ発見したんだよね」


自嘲気味に言うと、ふんふんとよしこちゃんはグラスの中身を飲み干した。