「私たちまで元気をなくしたら、みんなを見つけられない。こんなときこそ、のんきにご飯を食べようよ」


しばらく黙った浩太が、今度は聞こえるように噴き出した。


『なにそれ。驚くし』


「ごめん・・・・・・」


もっと気の利いたことを言えればいいんだけど、そんな思考は持ち合わせていない。

でも、よしこちゃんの言ったあの言葉が今は大切だから。


『わかったよ。のんきにご飯食べてくるわ』


「うん。電話、ありがとね」


『おう』


たわいないいつもの会話のように私たちは電話を切った。



少し、胸のつかえがとれたような気がする。


ありがとうコータ。

しばらくぼんやりと、天井に顔を向けていると、

トントントン

ノックの音が聞こえた。


「琴葉ちゃん、もう寝た?」


よしこちゃんの声。