友季子が戻ってきているんじゃないか、なんて望みは持っていなかった。

だけど、ひょっとしたら友季子のことだし、犯人から自分で逃げてくることだって考えられる。

わずかな希望を胸に、友季子の部屋の前に立つ。

ノックをした。

1回。2回。3回。

部屋のノブをまわすけれど、真っ暗な部屋に友季子の姿はなかった。


「友季子ごめんね・・・・・・」


つぶやくと、自分の部屋に戻る。

明かりをつける気にもなれなくって、ベッドにごろんと横になった。

暗闇のなかで考えることは同じことばかり。

今ごろ、友季子も怖い思いをしているのだろうか。


江梨子や悠香には会えたのかな。

床にほおり投げたスマホを取ると、電源をつけた。

ブーッと震えて、立ちあがる画面。


着信は、結城からたくさんあった。


きっと、あのあとたくさん電話くれたんだろう。