「おい、琴葉」


後ろから私を呼ぶ声がする。

昨日までは愛しくてたまらなかった声も、今は聞きたくない。

だって、結城は友季子を犯人扱いした。


私の大事な友達を・・・・・・。


自然に足が速くなる。

まるで、結城から逃れるように。

それ以上結城は声をかけてこなかったけれど、耳の奥でまだ私を呼ぶ声が聞こえているよう。


聞きたくない。


今は、聞きたくない。



だけど、耳をふさいでも、忘れられない声がずっと聞こえてくる。