「ごめんなさい・・・・・・。私が、私が止めていれば・・・・・・」


震えるのは声だけじゃなくて、体ぜんぶ。

よしこちゃんが後ろから肩に手を置いてくれた。

涙があとからあとからほほを伝った。


「君のせいじゃないよ。もともとは、僕たちが潜入捜査につきあわせてしまったから、こんなことになったわけだし。それに、友季子が無鉄砲で怖いもの知らずだからってのも、原因のひとつだし」


橘は気丈に笑ってくれるけれど、きっとちがう。


私のせいだ・・・・・・。


「とにかく、琴葉ちゃんも十分気をつけてほしい。犯人は君を狙っていると思うから」


その言葉によしこちゃんが私の肩をぎゅっと強く抱いた。


「大丈夫。もう、単独行動はさせないから」


「でも女性だけだと心配でしょう」


橘の言葉に、よしこちゃんはなぜか一瞬変な顔をしたが、自分が女性だと言われていることに気づいたのか、「あら」と、すっとんきょうな声を発した。


「女性扱いしてくれるなんて、橘刑事はやさしいのね」


よしこちゃんの表情が明るくなり、つられるように橘もやわらかい笑みを浮かべた。