いつもなら癒されるその笑顔も、なんだか余計緊張する。

なんでだろう?


「ほら」

と、友季子が私を促すので、私は警官の前にしぶしぶ歩いてゆく。


「あの~、私」


そう言いながら、ヘラヘラと自分が愛想笑いしていることに気づいた。

これじゃあ、不審者じゃん。

グッと表情を戻す。


「昨日、財布を届けにきたんですけど」


警官は私を見て、目を開いた。


「ああ、石田さん?」


「はい。あ、じゃあ・・・・・・、ちゃんと届いてるんですね?」


結城の言っていたことは本当だったのか。

なんだか、昨日の自分のセリフが思い出されて、恥ずかしい。


でも、あの状況じゃ疑っちゃうよ。


「もちろん。結城刑事からお預かりしてるよ。ありがとうね」


「そうですか」


軽くうなずきながらも、なんだかむなしい気分。