「やめておきなよ。捜査は警察にまかせようよ」


「でも、もう約束しちゃったし。琴葉こそ危険だから、ここから動かないでよね」


そう言うと、もう友季子は部屋から出て行こうとする。


「ちょっと待ってよ」


「大丈夫。きょうちゃんに協力できるんだもん。がんばるからね」


にこやかにまるで『散歩にでも行く』という感じで友季子は行ってしまった。


「もう・・・・・・」


閉まったドアにつぶやくけれど、不安がどんどんわきあがってくる。

このまま行かせていいの?

大丈夫なの?

迷っていると、テーブルに置いてあったスマホが軽快なメロディを奏でたのでまた驚いてしまった。

あわてて画面を見ると、『結城刑事』の文字。


「結城さん!」


『どうかしたのか?』


自分からかけてきたくせに、そうたずねてくれる。


声ひとつで状況がわかってくれるなんて、本当ならうれしいとき。

だけど、今はそんなこと言ってるヒマはない。


「あのね、友季子とコータがっ」


叫ぶように言いながら、なぜか涙があふれそうになる。