「当たり前でしょ。友季子じゃあるまいし」


こんな状況のなかでも笑えることに感謝しながら部屋へ招く。

すっかり髪型も落ち着いた友季子は、「なにしてんの?」と、部屋をキョロキョロ見回す。


「なんにもしてないよ。ここから動くな、て言われたし」


友季子は珍しくミニスカートに黒いストッキング、上はボーダーのシャツといった軽装だった。

『足が太いから』なんて言って、いつもスカートは長めだったのに。

橘の影響なのかな。

だとしたら、恋はすごいな。

服の好みまで変わってしまうのだから。


「これからデート?」


「ううん。きょうちゃん、最近捜査で忙しいから」


そう答えながらベッドに腰かける友季子は、なんだか大人びて見えてドキドキしてしまう。

こんな短期間の間でも、恋する女子はどんどん魅力的に変化してゆくものなのかも。


「浩太がさ・・・・・・」


ぼんやりしていて友季子の言葉を半分聞き逃した。


「え? コータ?」


「うん。これから港を探すんだってさ」


なんでもないように言う友季子に、思わず、

「え!?」

と、大きな声を出してしまう。