「あ、交番行ってないや」


結城とかいう刑事に宣言した手前、行かないとマズいのかな。


「交番? ああ、落とし物のやつか。近いしつき合うよ」


「うん・・・・・・」


めんどくさい反面、なんだか確認したい気持ちも大きい。

なんだろう?

この、へんな感覚。

昨日からあの結城って刑事の顔が頭から離れない。

ちゃんと届けたし、確認する必要もないんだけどな。

そう思いながらも、足は交番へ。

たわいない友季子の話も、なんだか頭に入ってこない。

うなずいたり、笑ったり。

全部が、心ここにあらず。

交番の建物が見えると、警官が表に立っているのが見えた。

人の好さそうないつものおじさん。


「こんにちは」


友季子が先に声をかけた。


「こんにちは」


顔をくしゃっとゆがめて、にっこりと答える警官。