だけど、なにも言えずに口をつぐむ。

それは、昨日屋上で見た寺田の姿がどうしても頭に浮かんでしまうから。

ひょっとしたら、私も寺田やカメラマンみたいに殺されるかもしれない。

なにも言わない私を見ながら、結城は立ちあがると、

「すぐにガラスは元に戻させます。念のため強化ガラスでお願いしました」

と、よしこちゃんに向き直った。


「そう。でも、これ以上ごめんよ」


「・・・よしこちゃん?」


問いかける私に答えずに、よしこちゃんは同じように立つと結城に近づいた。

息が触れるほどそばにいくと、まっすぐに結城を見る。


「琴葉ちゃんをこれ以上危険な目には合わせられない。次になにかあったら、アタシが許さないから」


低い声に結城が黙ってその目を見つめ返す。


「はい、わかっています。でも、捜査は中断できません。一刻も早く犯人を逮捕してみせます」


「勝算はあるの?」


「それはまだわかりません。しかし」

そう言って、私を見おろす。

「今回のことで、いくつか手がかりもありました。犯人逮捕に一歩近づいたと思っています」


「ほぇ?」


突然そう声を出したのは、友季子だった。