「誰かが割ったの?」


よくわからないまま尋ねると、よしこちゃんが隣で、

「勝手に割れるわけないから、そうでしょうね」

と、ごもっともな感想を述べる。


「でも、誰が?」


まさか、犯人?


「脅迫状にあったわよね。『捜査を打ち切らなければ、大切な恋人の安全も保障しない』って」


そう言うよしこちゃんは悔しそうな顔をしている。

破片はベッドの足元にまで広がっていて、もし部屋にいたら、と思うとゾッとした。


相手は本気なんだ・・・・・・。

結城に電話で事情を説明すると、すぐに来てくれるとのことだった。

まだドキドキする胸を押さえていると、ふとあることを思い出し、文字通りスーッと血の気が引く。

大切なこと、忘れてた。


「よしこちゃん!」


「なによ、急に大きな声出さないでよ」


「友季子は!?」


「へ?」


「友季子がまだ部屋にっ!」


「ええええ!」