「開けるわよ」

犯人に宣言しているのか、私に言ったのかわからないけれど、

「はい」

そう答えた次の瞬間、

「うりゃぁぁぁぁあ!」

よしこちゃんはドアを開けたかと思うと、部屋に駆けこんで行ってしまった。


「よしこちゃん!」


慌てて後を追うと、部屋の真ん中でブンブンとフライパンを振り回しながら、

「キョエー!」

よしこちゃんが奇声をあげていた。

見たところ、誰の姿もなかった。

けれど、あからさまに違うのは、正面にある大きな窓が割れていること。


窓の下に破片が散らばっている。


「なにこれ・・・・・・」


よしこちゃんがすばやくトイレも見回ると、私のそばに来て、

「誰もいないわ」

と、報告した。

ワンルームだし、言われた通り誰の姿もない。

割れた破片が光にきらめていて、こんなときなのに「キレイ」とか思ってしまう。


それどころじゃないのに。