その後ろからおそるおそるついてゆく。

何人かの寮生が部屋から顔をのぞかせているのを、右手を振って「部屋に戻れ」を合図をだすよしこちゃん。

真剣な顔に、素直にドアがひとつずつ閉まってゆく。


「あ・・・・・・」


その時になって、私は違和感に気づいた。


「どうしたの?」


口だけを動かして、声には出さずによしこちゃんが私を見た。


「私の部屋・・・・・・ドアが開いてる。閉めたはずなのに」


そう、たしかに閉めたはず。

だけど、それが100%とは言い切れないのが悔しい。

開かれたドアが、少し揺れている。

思い返してみるが、開けたまま部屋を出た記憶はない。

よしこちゃんはうなずくと、フライパンを構え直した。


「おい、誰かいるのか」


低い声はよしこちゃんから発せられていた。


「男の声だ・・・・・・」


「そんなツッコミいいから。離れてなさい」


シッシッと追いやられて、私は壁際までさがった。