油が浮いていておいしそう。

ご飯の湯気が宙にとけてゆく。


「うん、わかった。いただきます」


ひと口、ご飯を食べると甘い味が広がる。


「おいしいでしょう?」


ウインクしてみせるよしこちゃんに、こくんとうなずいた。

感謝の気持ちをこめながら。

そうだよね、私まで元気がなくなっちゃったら助けられるものも助けられないよね。

お腹に入る食べ物に、なぜかほっこりと暖かい気持ちになったのが不思議。


「寺田さんを殺した犯人って、やっぱり江梨子たちをさらったのと同じ人なのかな」


ぼそぼそと食べながら、私は口を開く。


「まぁ、そうでしょうねぇ」


湯呑にお茶を注いだよしこちゃんは、それを私にくれるのかと思いきや、自分でグビグビ飲み干した。


「犯人もあせってるよね。殺人までおかしちゃったんだもん。しかもふたりも」


「そうね」


聞いているのかいないのか、今度はご自慢のネイルアートを眺めている。

老眼がはじまっているのか、けっこう目から離して細めて眺めている様が、なんだかおばあちゃんみたい。