お皿には、鮭の切り身と目玉焼き、そしてきんぴらごぼうが盛られている。

続いてご飯とお味噌汁も次々に並べられる。

「食べるのよ」


断ろうと口を開きかけた私に、向かい側に座ったよしこちゃんが言う。

「でも」


「でもじゃないの。食べなきゃ元気でないでしょ」


「うん・・・・・・」


うなずいてはみるけれど、一向に箸に手が伸びてくれない。

みんなのことを考えると、とても・・・・・・。


「のんきに食べるの」


「へ?」


言われた意味がわからずに顔をあげると、毛穴まで見えそうなくらい近い顔があった。


「あのね、琴葉ちゃん。こういうときこそ、ご飯を食べるの。食べ物をとらなきゃ、良い考えだって浮かばないものよ」


「はぁ」


「問題はいったん脇に放置して、今はのんきにご飯を食べるのよ」


鮭を見る。