「・・・びっくりした。いきなり立ってるんだもん」


「寝てるだろうから」


短くそう言った結城は、床に腰をおろしてネクタイを緩めた。


「あ、うん」


まだ胸がドキドキしてる。

ジャージに手早く着替えた結城はメガネを外すと横になった。

壁の方をむいているから、その表情は見えない。

今日のことのお礼を言わなきゃ。

あと、もし聞けるならさっきの女の人のことを・・・・・・。

背中を見ながらそう考えるけれど、言葉にできない。

向けられた背中がそれを拒絶しているように感じて。


ガサッ

と、寝袋の音を立てて結城が私に顔を向ける。


「眠らないのか?」


「え?」


頭が麻痺したようにジーンとしている私が尋ねると、結城はまた背中を向けた。


「まぶしい」


ひとこと。