2、

疲れすぎていて眠れないのか、一向に眠気が訪れない。


体はぐったりと疲れているし、目だって開けていられないのに、なぜか頭がさえている。

暗闇の中、寝返りばかりをさっきから何度もしている。

早く寝なくちゃ、って思えば思うほどに目が覚めていく感覚。

原因は明白。

寺田さんの死と、そして・・・・・・。


「誰だろう、あの人・・・・・・」


つぶやく声に答えはない。

結城に抱きついていた女性。

一瞬見ただけなのに、あの顔が脳裏から離れてくれない。

考えたくないけれど、まるでラブシーンのようだったし。

友季子が起きていれば話をして気でも紛らわせるのに、珍しく早々と寝てしまったらしく物音ひとつしない。

電気をつけて起きあがる。

部屋の隅に結城の寝袋と、几帳面にたたまれたジャージ。

「ひょっとして」


あれは結城の彼女で、彼が私と住んでいることを知って抗議に来たのでは?

考えるほどにそのような気がしてくる。

だって、自分の彼氏が女子高生と同棲してるなんて、絶対に許せないだろうし。