パニックになっていたみたい。

しっかりしろ、私。


「はい。もう大丈夫です」


「疲れているよね? 申し訳ないんだけど、少しお話を聞かせてほしいんだ。さっき見たことを説明してもらえるかな?」


「はい」


答えながら、これが事情聴取であることを改めて知る。

私が俗に言う『第一発見者』なのだから仕方ない。

寺田との出逢いから話しはじめることにした。

途中で教えてもらったのは、確かにあれが寺田だったこと。

そして、すでに死亡が確認されていることだった。


胸がしめつけられる。


寺田を思うと、改めて自分の身も安全ではなかったことを知る。

もし、あの場にまだ犯人がいたなら。

顔をあわせていたなら。


でも・・・・・・。


それより気になることが頭を占めているんだ。


「あ、あの橘さん」