「えっ。まぁ・・・・・・」


「へー。歳はいくつくらい?身長は?」


よしこちゃんはイケメン好き。

もう、40を越えているだろうに男を見る目にはうるさい。


それよりも・・・・・・。


間近で見るよしこちゃんの顔が気になる・・・・・・。


「なによ?」


あまりにも私が見つめすぎるからか、よしこちゃんが顔をしかめた。


「よしこちゃん、ヒゲが・・・・・・」


化粧の下から、黒いヒゲが見えていた。


「まっ! 仕方ないでしょう? もう夜だもの。あんまり剃りすぎると、もっと濃くなるってワイドショーで言ってたんだもの!」


「でも、怖いよ」


よしこちゃんの本名は、“義男”らしい。

つまり、寮母ではなくて寮父なのだが、本人が『私は寮母』と言ってきかないものだから、それで通っている。

かわいい服を着たり化粧もしっかりしているが、悲しいかな、骨格の良さと九州生まれのせいなのか、男らしい顔つきをしている。

朝はそれなりに見えなくはないが、夜になるとどんどん男の顔に戻ってゆく。