3階まで一気に登ると、一息つく。

山本先生じゃないけど、こんな夏日の昼過ぎは暑くて仕方ない。

息を整えながら、今度はゆっくり上へ。

寺田の言っていた情報っていったいなんだろう?

それを知ることで、一気に捜査が進むならいいけれど・・・・・・。

寺田には、よしこちゃんのアドバイスどおり全然違う情報を教えるつもり。

フェアじゃないとは思うけど、向こうをどこまで信用していいのかもわからないし。

あやしまれないようにしないと。

警察の捜査内容の偽シナリオをもう一度頭で復習する。


「えと、警察は空港で犯人の国外脱出を見張っている。おそらく貨物機での脱出だろうから、荷物の中に女子高生たちがいるものと踏んでいる。そいで・・・・・・なんだっけ?」


そうこうしているうちに屋上のドアの前まで来てしまった。


「あれ?」


寺田の姿はなかった。

ひょっとして、帰っちゃったとか?

それともドタキャン!?

あの人なら平気でしそうだな、なんて思いながら扉を引くと、

ギィ

重い音が空気を震わせた。