「あ・・・・・・あれ? なんだっけ? あははは」


また乾いた笑いを出す自分の声が、どこか遠くで聞こえているようだった。





「さっきのなによ!」


泣きじゃくる山本と別れたあと、私は浩太に抗議した。


「なに、って言われても」


「コータが言いだしたんでしょうが。それなのに、先生の味方しちゃってさ」


友季子は意味がわかってないようで、ニコニコと笑いながらついて来ている。

浩太は、下駄箱で靴を履きかえると、

「しょーがねぇじゃん。あいつにはできない、って思ったんだから」

と、悪びれた感じもなく言った。


「まったくもう、これでふり出しじゃないのよ」


「また考えてみようぜ。俺も考えてみるからさ」


友季子も、「そうだね」とうなずくと、

「もう帰ろうか。なんか疲れちゃったし」

と、急にぐったりしてみせた。


「友季子はなんにもしてないでしょ」


「へへ」


わざとらしく私はため息をついてみせると、

「先に帰ってて」

と、言った。