「先生?」

声をかける私が見たのは、山本先生の汗。


・・・違う。


巨体とは似合わない小さな目から涙がこぼれ落ちるところだった。

流れる涙をぬぐおうともせず、山本先生は必死でこらえて身体を震わせている。


「ウ、ウウ」


「ど、どうしたんですか? (食べ過ぎで)お腹痛いんですか?」


「ぼ、僕は、教師になって15年。これまで教師一筋でやってきました」


「は、はぁ」


なぜか山本先生は敬語になっている。


「最近は結婚もさせていただき、子供も授かりました。こんなに命の大切さや人のあたたかさを感じている僕を、は、は、犯人扱いするなんて、ひどいじゃないですか!」


泣きながらも懇願するように訴える。

もう、汗も涙もボタボタとこぼれ落ちていた。

「あ、あの・・・・・・。私たちはなにも言ってないです・・・・・・よ?」


「僕は言ってやりましたよ! 『なにも知りません』って。本当のことなんですからっ」


「そ、そうですよね」


体をのけぞらせてなんとかそう答えるが、山本はさらにつめ寄ってくる。