「先生、お話があって来ました。どこかで話せませんか?」


私がそう言うと、山本先生はうなずいた。


「じゃあ、外へ行こうか」


他の先生に聞かれないための配慮だろう。


「その方が先生にとってもいいと思う」


浩太が余計なことを口にしたので、そのわき腹をつねった。

山本先生は気にもしてないようで、歩き出した。

校舎を出て、裏手に回ると風が気持ちいい。


「お待たせ」


向こうから手を振りながら友季子が走って来た。


「もう、遅いよ」


そう言うと、

「ごめーん。きょうちゃんと話がつきなくってぇ」

と、両手を合わせて謝ってくる。

よく見ると、私服のまんま。

帰って着替えもしてないみたい。

それくらい橘と話が盛りあがったっていうのだろうか。


・・・友達が行方不明っていうのに。


ムカつく気持ちがわきあがってきて、それに自分で驚いた。