「あなたねぇ、今日も門限ギリギリだったじゃないのよ」

そう言いながら、ピンクのフリルのついたスカートをなびかせながら、私たちの前に仁王立ちになる。目線は、私に向けられていた。

「はぁ」


「前から言ってるでしょう? 5分前行動だって。10秒前はセーフじゃないの、ギリギリアウトの線なのよっ」


「・・・だってぇ」


「だってじゃないの! アタシは、ご両親から大事な娘さんを預かっているのよ。なにか事件にでもあったらって考えると…ああ、恐ろしいわ!」


オーバーアクションで叫ぶよしこちゃんは、まるで舞台女優のよう。


「よしこちゃん、今日は仕方なかったの。琴葉ね、財布を拾っちゃって、交番に届けに行ってたの」


友季子ナイス。

こういうとき、さっと助け舟を出してくれるから親友は頼りになる。

「・・・・・・そうなの?」

よしこちゃんは片目を細めて、私を見やった。

まだ半分疑ってるような顔をしている。


「うん。刑事さんにしか会えなかったけど」


「へぇ」


とたんに目をキラキラ輝かせて、よしこちゃんは近くにいあった丸椅子を引き寄せ輪に加わった。


「刑事さんってどんな人?かっこいいの?」