「でも、教えることで警察がひいきしてくれるとか」


「甘いわ。ドラマの見すぎよ。実際はもっとシビアな世界なの。だから、警察には教えられない。手持ちの札が強ければ強いほど、自分で取材を進めてスクープとして発表すべきなの」


その横顔を見る。

さっきまでのおちゃらけはどこへやら、引きしまった真剣な表情で前を見ている。

報道の世界も大変なんだな。

大っキライなはずなのに、女性でここまで必死でがんばっている姿に、少しだけそれを撤回してもいいような気がする。


「でも、それをどうして私に?」


「あら、だって琴葉さんに教えても問題ないじゃない? たかが女子高生になにができるの?」


ムカッ。

・・・やっぱりこの人キライ。


「まぁ、どっちにしても明日のニュースでこのスクープは取りあげるつもりよ。でも、せっかくのネタだから、琴葉さんさえよければ教えてあげるわ」


「・・・・・・」


「友達を救いたいなら、少しでも情報を手に入れたくないのかな?」


しばらく黙って歩いていたけれど、意識しないまま足が勝手に止まった。

レポーターが少し進んで振り返る。


「どうするの?」