「どうしてですか?」


やれやれ、と肩をすくめたレポーターが、トイレを出た。

帰ればいいのに、なぜかその後ろをついてゆく私。

私がいるのをわかっているように、レポーターは、

「前を走るか、後ろから追いかけるか、ってこと」

と、言いながら自動ドアから外へ。


「意味がわからない」


そう言いながら同じように外に出た。

自然に横にならんで歩き出す。


「こういう事件では、たいてい報道は警察からの発表を待っているしかできないのよ。警察も全部の情報は言ってはくれないでしょう? 小出しにされた情報を細々と映像にしていくしかできないの」


たしかに・・・・・・。

ひとつの事件が起きた場合、ワイドショーなどでは少ない情報から取材をしてそれを報道しているけど、どのチャンネルも同じような内容ばかりだ。


「つまりね」


レポーターが歩きながら私の顔を見た。


「結局は後ろから追いかけてるだけなの。時々落としてくれる情報だけを頼りに、なんとかニュースにしているだけ」


「・・・・・・」


「でも、今回私はすごい情報を手にしたの。他のテレビ局だけじゃない、警察さえも驚くほどの情報よ。それを、みすみす警察になんて教えるもんですか」