「石田琴葉さんよね?」


その顔を見て眉をひそめる。

誰だっけ?

と、考えるそばからすぐに思い出した私は振り返った。


「レポーターさん?」


何度かマイクをつきつけてきたあの女レポーターだった。


「はは。ようやくわかってくれた?」


目の前であいかわらず濃い化粧で笑っている。


「・・・・・・」


とっさに注意深く観察する。

さすがにトイレまではカメラマンはついて来ていないよう。

私の目線に気づいたのか、レポーターは腕を組むと、

「大丈夫。今日は私ひとりだから」

と、言った。


「いったい、なんの用ですか?」


この間の公園でのことを思いだしたら、ムカムカしてきた。

あんな失礼なこと言っておいて、よく現れられたもんだ。


「さっき、みなさんでお話してるところを見かけたから」