それでも、どんどん大きくなる彼の存在が、どんどん私を苦しくさせている。

胸元のペンダントを取り出して見る。

涙の形が、まるで自分を表しているみたい。


喜んでいいの?


期待していいの?


「はぁ」


ため息ばかりこぼれる。

この事件も早く解決してほしい。

だけどそうしたら間違いなくこの毎日は終わってしまう。

不謹慎なのはわかっているけれど、結城と会えなくなるのがこんなに怖くなるなんて。

もう一度ため息をついた私は首をブンブンと振った。


「こんなことでウジウジしてる場合じゃないでしょ」


自分に声をかけて個室から出た。

洗面台で手を洗っていると、後ろに誰かが立つ気配がした。

気にせずにハンカチで手を拭きながら、鏡越しにその人を見る。

その女性はにっこりとほほえんだ。


「こんにちは」


「え?」