「だから、考えのうちのひとつだ、って言ってんでしょうが。落ち着きなさいよ」


「・・・・・・」


ようやく大人しくなった浩太を見ながら、私も椅子に座った。

まったく、人の話を聞かないんだから・・・・・・。


「でもよ」


勢いをなくした浩太がつぶやくように言った。


「可能性があるなら動きたいんだよ」


「コータ・・・・・・」


「悠香や江梨子を救ってやりたい。ただ待ってるんじゃ、俺、つらいんだよ」


そう言うと、自分の髪をくしゃくしゃとかいた。

たしかに、ここで推理をするのも必要だけど、それが正しいかどうかを調べてみるのはもっと大切な気がする。

暗い船底で捕まっている江梨子や悠香を思い浮かべると、すぐにでも動かなくては、と。


「じゃあ、山本先生に聞いてみる?」


「ああ」


「問い詰めちゃダメだからね。あくまで容疑者のひとりでしかないんだから」


「わかってるよ」


その言葉が本心かどうかわからないけど、まぁ、いざとなったら力ずくで浩太を押さえつけよう。