「ふたりの顔を知っているのは、限られた人しかいない、ってコータは言いたいんだよね?」


「ああ。そう考えられねぇか?」


「近い人って言ったら、誰だろう・・・・・・?」


思い浮かぶのは、まずは・・・・・・。


「山本じゃね?」


私の考えを見透かしたように浩太が言った。

同じこと言おうと思ってた。


「なんで? 山本先生って、担任の?」


また半笑いの友季子は、すぐに私たちの表情を見て再び口をつぐんだ。

さすがに冗談ではないとわかったらしい。


「山本先生ならさ、クラスのみんなのことはわかっているじゃない。江梨子も悠香もたしかにクラスではかわいい子だしさ」


そう私が言うと、浩太は黙って首をかしげた。


「でも、あいつ最近子供産まれたばっかだろ? 家だって建てたらしいし」


「だからよ」


「だから?」


いぶかしげな表情の浩太に私はうなずいた。

昨日から、身近な人が犯人という仮定で考えていて行きついた推理だったから。