隣の食堂からは、にぎやかな笑い声が聞こえてくる。

16名の生徒が住んでいるこの寮は、食事当番が決まっていて、これにあたると結構大変。

手際の悪い私は、レシピ通りに作ってもぜんぜんだめ。

寮母の“よしこちゃん”にいつもグチグチ言われている。


「ほんっと、イヤな感じだったんだよー」


「はは。でも、話を聞く限りだと、琴葉だって負けてなかったみたいじゃん。私なら素直に財布渡しちゃうもん」


エプロンを外した友季子が笑う。

三角巾を取ると、友季子の長い髪がしゅるんと降りた。


「だってさぁ」


厨房のはしっこに座って、私たちは夕食をとる。


「あの刑事、ぜったい友達いないと思う」


「ぶ。なにそれ」


「確かにさ、顔はまぁ・・・・・・悪くないよ? あ、これ美味しい」


水菜のお浸し。

友季子が作るといつも味がしっかり染みているだよね。


「ありがと。……で?」


「身長だって、まぁあるし。でもさっ、一般市民に対してあの態度! 私、わざわざ届けに行ったんだよ。それを、あんな冷たい言い方しなくってもさ」


「うんうん」