その声はいつもの裏声ではなく、男の声だった。


「え、なになに?」

状況が呑みこめずに目を白黒。

結城もぽかーんと見ている。


「あなたねぇ! 今がどんな状況かわかっているの!? 友季子ちゃんから『琴葉がいなくなった』って電話があって、私もうどれだけじんばびじだが」


最後は声にならずに大粒の涙をぼろぼろとこぼしだす。

あ、友季子。


ヤバ。


言わずに出て行っちゃったから。


「ほんとにもう! あなたって子は、いづでぼぼあびでぇ」


「結城さん、ごめん。よしこちゃんをお願い」


私は結城に言うと、あわてて自分の部屋に走った。

そうだ、携帯置いて行っちゃったんだ。

部屋に入ると、ベッドの上で携帯がチカチカ点滅している。


___不在着信25件。


友季子とよしこちゃんから交互に・・・・・・。

その時、携帯が鳴りだした。